少子高齢化の中、日本の平均寿命は男性79.59歳、女性86.44歳となっています。比較するのはいささかおかしな話ですが、当施設入居者は男性82.9歳、女性86.7歳であり、多くの方々が平均寿命に達しているという事になります。このことは一施設として考えれば大変素晴らしい事ではあります。しかし最近、どこにでも書かれているように65歳以上の人口が22.8%を占め、2050年には40%になると推測されています。この恐ろしい現実を改善するには少子化問題、すなわち出生率1.37をせめて2.0にする努力しかないのであります。
だからと言って戦前になされた『産めや増やせ』が通じる世の中ではなく、国の為政者がそれを理解しリードしなければならないのに残念な事にそのような施策が見えてきません。
このような時代に少子化問題を解決する一つの施策として国が考えたのが外国人労働者の導入であります。このような施策は世界的に見て歴史があります。その目的の一つは頭脳労働者の流入であり、もう一つが肉体労働者であります。今回のはフィリピン、インドネシアとの経済連携協定に基づくもので看護師、介護士を年間千人程度導入すると言うものでありました。しかし、この問題点は三年間の間に日本の資格を取らねばならない事と為政者の目的に介護社会の低賃金を維持する事が見え見えである事であります。この事はその後、厚生労働省の役人が『介護は失業者のセーフティネットとして大事』などと発言している事からも明らかであります。
四月、春は新人を迎える時でもあります。その割りにはいささか湿っぽい事を書きました。日本の医療の歴史は医師が中心となってリードする事で発展してきました。しかし、介護保険の本質は介護するものと、それを利用する皆さんとが中心であります。従って、介護社会に働くものは肉体的、精神的にタフでないと務まりません。介護保険施設は基本的に中間施設です。利用する皆さんが社会復帰するために若い人たちが「和」を持って楽しく働けるよう、大いに頑張りたいと思っています。
「老者は之に安じ、朋友は之を信じ、少者は之に懐く」
これは、孔子の言葉とされ「老人に対しては安心を与え、友とは信じあい、子供には慕われる。こういう風に生きたいものだ。」と解釈されています。「老者は之に安じ」を目的としてつくられた横浜シルバープラザは日本に介護保険制度が導入された当初に開設され(3年前からユニット型となった)、昨年創業20年を全国レベルの会で表彰されました。
本施設は医療法人緑成会を横浜総合病院とともに構成し、その理念は「心技一如」であります。この理念は医療に携わるものとして極めて分かりやすいものと思っています。